ペッチャブリー——丘上の宮殿と『黄金の砂糖』の郷
เพชรบุรี(phét-bù-rii)——「ダイヤモンドの街」を意味する古都。タイ湾に面し、西にはミャンマー国境の山塊がそびえる。この地には、丘の上から街を睥睨する『王の宮殿』と、舌を蕩かす『黄金の甘味』、そして手つかずの大密林が共存する。ゴゴゴゴ……宝石の名にふさわしい、多面の輝きを放つ県なのだッ!
この地に眠る『魅力』
街の中心にそびえる丘、その頂に建つのがプラ・ナコーン・キリ——通称「カオ・ワン(宮殿の山)」。19世紀、ラーマ4世が避暑のために築いた宮殿群で、白亜の建物、タイ・中国・西洋が融合した独特の建築、そして仏塔が丘の頂を彩る。ケーブルカーで登れば、眼下に古都ペッチャブリーの街並みと平原が一望できる。เขา(khǎo/山)の上の宮殿は、王の美意識の結晶だ。
麓の古刹群も見逃せない。ワット・マハタートの白い仏塔、そして洞窟寺タム・カオ・ルアンには、鍾乳洞の中に無数の仏像が祀られ、天井の穴から差し込む光が仏を照らす神秘的な空間が広がる。
さらに県の西部には、タイ最大の国立公園『ケーンクラチャン国立公園』が広がる。深い原生林には野生の象やテナガザル、豊かな鳥類が生息し、雲海に浮かぶ山々の絶景が旅人を待つ。
食——胃袋の戦い
ペッチャブリーの名を全国に轟かせているのは『菓子』だ。この地はタン椰子(砂糖椰子)の一大産地で、その花序から採れる椰子糖が、絶品のタイ菓子を生む。中でも『カノム・モーゲーン』——椰子糖と卵、豆を使った濃厚な焼きプリンは、ペッチャブリーの代名詞。ขนม(khà-nǒm/菓子)と言えばこの街、と言われるほどだ。
街道沿いには菓子店がずらりと並び、椰子糖の甘い香りが漂う。素朴だが深い甘さは、化学調味料では決して出せない自然の恵み。甘党の旅人にとって、ここは『胃袋の楽園』であり、同時に自制心を試される『甘い戦場』なのだ。
文化——受け継がれし魂
ペッチャブリーは「職人の街」としても名高い。漆喰彫刻、木彫り、金箔細工——寺院を荘厳する伝統工芸の名匠を数多く輩出してきた。古刹の壁を飾る繊細な漆喰装飾は、この地の職人たちの技の結晶だ。
またワット・コー・ケーオ・スッタラームには、17〜18世紀の美しい壁画が残る。色褪せてなお生き生きとした仏教説話の絵は、数百年前の絵師の魂を今に伝える。จิตรกรรม(jìt-trà-kam/絵画)の伝統が、この古都では途切れることなく受け継がれている。
生活——この地で暮らすということ
古都でありながら、ペッチャブリーの暮らしはおおらかだ。人々は椰子糖を煮て菓子を作り、平原で米を育て、海辺のチャアム・ビーチで潮風に吹かれる。国境の山、豊かな平原、そして海——三つの異なる自然の恵みが、この地の暮らしを彩り豊かにしている。
丘の上の宮殿を仰ぎ、甘い菓子を頬張り、寺の壁画に手を合わせる。歴史と自然と甘味が溶け合うこの街での暮らしは、まさに「宝石」の名にふさわしい多彩な輝きに満ちている。
旅の心得
バンコクから南へ約120キロ、日帰りも可能だが泊まってこそ味わい深い。カオ・ワンの丘には猿がいるので食べ物に注意。ケーンクラチャン国立公園は雨季明けの11〜2月が快適で、早朝の雲海は必見だが、宿とルートは事前手配を。そして何より——カノム・モーゲーンを土産に買い忘れるな。この甘さを持ち帰らずして、ペッチャブリーを去ることなかれッ!
