初級 / 基本文法
時制の表しかた
「昨日行った」「今食べている」「明日行く」——時間に関する表現は会話に欠かせません。英語なら go / went / will go と動詞が変化しますが、タイ語の動詞は形が変わりません。これは日本人にとって大きな朗報です。過去形も未来形も覚える必要がないのです。
では、どうやって時を表すのか。タイ語は動詞の前後に「時を表す語」を添えるか、時を表す単語(昨日・明日など)を文に置くことで時制を示します。この記事でその仕組みを整理しましょう。
動詞は変化しない
まず大原則です。タイ語の動詞は、いつの話でも同じ形です。
- phǒm pai — ผมไป — 私は行く/行った(文脈しだい)
pai(行く)は過去でも未来でも pai のまま。時をはっきりさせたいときだけ、次のような語を添えます。
時を表す助動詞的な語
動詞の前後に置いて、時制やアスペクト(動作の局面)を表す語がいくつかあります。
| 語 | 位置 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| jà(จะ) | 動詞の前 | これから〜する(未来) | phǒm jà pai(行くつもり) |
| kam-lang(กำลัง) | 動詞の前 | 〜している最中(進行) | khǎo kam-lang kin(食べている) |
| láew(แล้ว) | 動詞の後・文末 | もう〜した(完了) | phǒm kin láew(もう食べた) |
| khoei(เคย) | 動詞の前 | 〜したことがある(経験) | phǒm khoei pai(行ったことがある) |
- jà:未来。「〜する(つもり・予定)」。
- kam-lang:進行。「今〜している最中」。「kam-lang … yùu」の形もよく使います。
- láew:完了。「もう〜した・〜し終わった」。過去や完了を表す最重要語です。
- khoei:経験。「〜したことがある」。否定は mâi khoei(〜したことがない)。
これらを動詞に添えるだけで、動詞の形はそのままに時制を表せます。
時を表す言葉を文に置く
もう一つの方法は、「昨日・今日・明日」のような時の言葉を文に加えることです。
| タイ語 | タイ文字 | 意味 |
|---|---|---|
| mûea-waan-níi | เมื่อวานนี้ | 昨日 |
| wan-níi | วันนี้ | 今日 |
| phrûng-níi | พรุ่งนี้ | 明日 |
| dǐao-níi / tawn-níi | เดี๋ยวนี้ / ตอนนี้ | 今 |
例:
- mûea-waan-níi phǒm pai — เมื่อวานนี้ผมไป — 昨日、私は行った
- phrûng-níi phǒm jà pai — พรุ่งนี้ผมจะไป — 明日、私は行く
時の言葉は文頭か文末に置くのが自然です。「昨日」と言えば動詞が同じ pai でも過去だと分かります。時の言葉と jà などを組み合わせれば、さらにはっきりします。
日本人が気をつけたいこと
日本語の「〜た/〜ている/〜だろう」を、つい動詞そのもので表そうとしがちですが、タイ語では動詞は変えず、語を添えるのがルールです。特に完了の láew(もう〜した)はとてもよく使うので、しっかり覚えましょう。また、時がはっきりしている文脈では、これらの語を付けずに動詞だけで済ませることも多いです。「必ず時制語を付けねば」と気負わず、必要なときに添えると考えましょう。
語を組み合わせて時を細かく表す
時を表す語は、組み合わせるとより細かいニュアンスを出せます。
- kam-lang … yùu — 〜している最中だ(進行を強調):khǎo kam-lang aan yùu(彼は読書中だ)
- … láew — もう〜した(完了):rót maa láew(車がもう来た)
- jà … — これから〜する(未来):phǒm jà klàp bâan(家に帰るつもり)
- yang mâi … — まだ〜していない:yang mâi kin(まだ食べていない)
yang(ยัง/まだ) と láew(もう) は対になる便利な語です。「もう食べた?」と聞かれて「まだ(yang)」「もう食べた(kin láew)」のように答えます。
動詞が変わらないから起きる「あいまいさ」
タイ語の動詞は形が変わらないため、時を表す語がないと文だけでは過去か未来か分からないことがあります。たとえば phǒm pai talàat(私は市場へ行く)は、文脈しだいで「行く・行った・行くつもり」のどれにもなり得ます。
これは欠点ではなく、必要なときだけ時を明示すればよいという気楽さでもあります。会話では「昨日(mûea-waan-níi)」などの時の言葉が一度出れば、その後は動詞だけで話が進みます。日本語のように毎回「〜した/〜する」と言い分けなくてよい、と考えると気が楽になります。
まとめ
- タイ語の動詞は活用しない。過去も未来も同じ形。
- 時は動詞の前後に語を添えて表す:jà(未来)・kam-lang(進行)・láew(完了)・khoei(経験)。
- 時を表す言葉(mûea-waan-níi 昨日・wan-níi 今日・phrûng-níi 明日)を文に置く方法もある。
- 完了の láew(もう〜した) は特によく使う。
- 文脈で分かるときは時制語を付けなくてよい。