中級 / タイ文字を読む
中子音(อักษรกลาง)
タイ文字を読む学習は、まず中子音から始めるのが定石です。中子音は全部で9字しかなく、しかも声調記号どおりに素直に読めるため、声調のルールを学ぶ「基準(ものさし)」になります。高子音・低子音のふるまいは、この中子音と比べて理解するのが一番わかりやすいのです。まずはこの9字を、音とクラスと例語ごと、しっかり覚えましょう。
中子音の9字
中子音は次の9字です。声調を覚えるための伝統的な語呂として「ไก่ จิก เด็ก ตาย บน ปาก โอ่ง(鶏がひよこをつついて甕の口の上で死ぬ)」がありますが、まずは表で音を押さえましょう。
| 文字 | 名前 | 頭子音の音 | 末子音の音 |
|---|---|---|---|
| ก | ゴー・ガイ(ไก่=鶏) | k | -k |
| จ | ジョー・ジャーン(จาน=皿) | j(チに近い) | -t |
| ฎ | ドー・チャダー(ชฎา=冠) | d | -t |
| ฏ | トー・パタック(ปฏัก=突き棒) | t | -t |
| ด | ドー・デック(เด็ก=子ども) | d | -t |
| ต | トー・タオ(เต่า=亀) | t | -t |
| บ | ボー・バイマイ(ใบไม้=葉) | b | -p |
| ป | ポー・プラー(ปลา=魚) | p(無気音) | -p |
| อ | オー・アーン(อ่าง=洗面器) | 声門音(母音の台) | なし |
日本人が特に注意すべき区別
- ก(k)と ต(t)と ค(低子音の kh):ก は左上に小さな輪があります。次のトピックの ถ(高子音 th)とも形が似るので、輪の向きと位置で見分けます。
- ด(d)と ต(t):形がよく似ています。ด は上部が丸く閉じ、ต は上に小さな突起(歯)があります。**「ต には歯(点)がある」**と覚えると混乱しません。
- บ(b)と ป(p)と ษ(高子音):บ は縦棒が上に突き出ず、ป は上に突き出ます。
- ป(p)は無気音:日本語の「パ」より息を出さない音です。有気音の ผ/พ(ph)とは別物です。
อ という特別な字
อ(オー・アーン)は中子音ですが、少し特殊です。単独では「声門閉鎖音」で、実質的には母音を書くための台として働きます。例えば「オー」という長母音は อ に母音記号 ◌อ を足して書きますし、อา(アー)のように、母音の前に置く子音がないときの「置き場所」にもなります。この อ は後の特殊な綴りのトピックでも重要な役割を果たします。
中子音の例語
| 単語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| ไก่ | kài(低声) | 鶏 |
| จาน | jaan(平声) | 皿 |
| เด็ก | dèk(低声) | 子ども |
| เต่า | tào(低声) | 亀 |
| ปลา | plaa(平声) | 魚 |
| ตา | taa(平声) | 目・母方の祖父 |
| ดี | dii(平声) | 良い |
| บ้าน | bâan(下声) | 家 |
| ปาก | pàak(低声) | 口 |
| จอด | jòot(低声) | 停める |
| อ่าน | àan(低声) | 読む |
| ตลาด | talàat(低声) | 市場 |
これらの語は日常会話に頻出します。とくに ปาก(口)・ตา(目)・อ่าน(読む)などは体の部位や基本動作で、早い段階で覚えたい語です。中子音は音がはっきりしていて聞き取りやすいので、発音練習の入り口にも向いています。
覚え方のコツ:伝統的な語呂
タイの子どもは中子音9字を「ไก่ จิก เด็ก ตาย บน ปาก โอ่ง(鶏がひよこをつついて甕の口の上で死ぬ)」という語呂で覚えます。それぞれ ก(ไก่)・จ(จิก)・ด/ฎ(เด็ก)・ต/ฏ(ตาย)・บ(บน)・ป(ปาก)・อ(โอ่ง)に対応します。無理に覚える必要はありませんが、9字が1つのまとまりだと意識すると記憶に残りやすくなります。ฎ と ฏ は日常語ではまれで、主に古語・タイ語化した外来語(ปฏิบัติ=実践する、など)に現れます。まずは ก จ ด ต บ ป อ の7字を確実にしましょう。
中子音がなぜ「基準」なのか
中子音は、声調記号が付いていればその記号がそのまま声調を表します。
| 状態 | 声調 |
|---|---|
| 生音節・記号なし | 平声 |
| ◌่(マイ・エーク) | 低声 |
| ◌้(マイ・トー) | 下声 |
| ◌๊(マイ・トリー) | 高声 |
| ◌๋(マイ・チャッタワー) | 上声 |
| 死音節 | 低声 |
このように中子音は5声調すべてを声調記号で書き分けられる唯一のグループです。この素直さを基準として、高子音・低子音の「クセ」を理解していきます。詳しい声調ルールは後のトピックでまとめて扱います。
たとえば同じ ก で始まる語でも、กา(kaa/カラス・平声)、ก่า(低声)、ก้า(下声)、ก๊า(高声)、ก๋า(上声)のように、声調記号を替えるだけで5声調を作れます。これは高子音・低子音ではできません(高子音は上声・低声・下声しか、低子音は平声・下声・高声しか記号なし+2記号では作れない)。だからこそ中子音は声調を学ぶ「ものさし」として最初に扱うのです。
まとめ
- 中子音は9字:ก จ ฎ ฏ ด ต บ ป อ。
- 声調記号どおりに素直に読めるため、声調学習の基準になる。
- ด と ต、บ と ป など、形の似た字は細部(歯・突き出し)で見分ける。
- ป は無気音の p。อ は母音の台として働く特別な字。
次は、記号なしで上声になる高子音を見ていきます。