中級 / タイ文字を読む
母音記号(สระ)
子音のクラスを一通り見たので、次は母音記号です。タイ語の母音は音の数だけでも20以上あり、しかも記号が子音の前・上・下・後ろに付いたり、複数の位置に分かれて付いたりします。ここが日本人にとって「どこから読めばいいのか分からない」最大の難所です。しかし位置と長短のルールを押さえれば、初見の単語でも母音を正しく拾えるようになります。
母音記号は子音の周りに置く
母音記号は単独では書けず、必ず子音字とセットで、次の位置に付きます。ここでは「◌」を子音の位置として示します。
| 位置 | 記号の例 | 音 |
|---|---|---|
| 前置 | เ◌ แ◌ โ◌ ไ◌ ใ◌ | ee, aae, oo, ai, ai |
| 上置 | ◌ิ ◌ี ◌ึ ◌ื ◌ั | i, ii, ue, uue, a |
| 下置 | ◌ุ ◌ู | u, uu |
| 後置 | ◌ะ ◌า ◌อ | a, aa, oo |
読む順は必ず子音からです。たとえ母音記号が子音の左(前)に書いてあっても、音は「子音→母音」の順に読みます。例えば เก は文字の並びは「母音 เ + 子音 ก」ですが、読みは ke(ケー)です。
長母音と短母音のペア
タイ語の母音は長短で意味が変わるため、ペアで覚えるのが効率的です。
| 短母音 | 長母音 | 音 |
|---|---|---|
| ◌ะ | ◌า | a/aa |
| ◌ิ | ◌ี | i/ii |
| ◌ึ | ◌ื | ue/uue |
| ◌ุ | ◌ู | u/uu |
| เ◌ะ | เ◌ | e/ee |
| แ◌ะ | แ◌ | ae/aae |
| โ◌ะ | โ◌ | o/oo |
| เ◌าะ | ◌อ | o/oo(口を開いた o) |
| เ◌อะ | เ◌อ | oe/oee |
短母音は、開音節(母音で終わる音節)だと死音節になり、声調に影響します。この点は次の声調規則トピックで扱います。
複数の位置に分かれる母音
タイ語の母音の難しさは、1つの母音が子音の周りに分散して書かれることにあります。代表例を挙げます。
| 母音 | 綴りの形 | 例 | 読み |
|---|---|---|---|
| iia(イーア) | เ◌ีย | เสีย | sǐia(上声・失う) |
| uuea(ウーア) | เ◌ือ | เสือ | sǔea(上声・虎) |
| uua(ウーア) | ◌ัว | ตัว | tua(平声・体) |
| oee(ウー) | เ◌อ | เธอ | thoe(平声・あなた) |
例えば เสีย は「子音 ส」を中心に、前に เ、上に ◌ี、後ろに ย が付いて1つの母音「iia」を作ります。バラバラに見える記号をひとまとまりの母音として認識できるかが読解のカギです。慣れるまでは「前置母音 เ を見たら、後ろまで目を走らせて母音のまとまりを確定する」という読み方を意識すると失敗が減ります。
母音の全体像(短母音・長母音の位置まとめ)
母音を位置別に整理すると、初見の単語でも「どこに母音があるか」を素早く見つけられます。
| 母音 | 綴り | 例 | 読み・意味 |
|---|---|---|---|
| a/aa | ◌ะ/◌า | มา | maa(来る) |
| i/ii | ◌ิ/◌ี | มี | mii(ある) |
| u/uu | ◌ุ/◌ู | ดู | duu(見る) |
| e/ee | เ◌ะ/เ◌ | เท | thee(注ぐ) |
| ae/aae | แ◌ะ/แ◌ | แก | kae(あなた・年上) |
| o/oo | โ◌ะ/โ◌ | โต | too(大きい) |
| oo(開) | เ◌าะ/◌อ | ขอ | khǒo(求める) |
短母音は「詰まって切れる」、長母音は「しっかり伸びる」感覚です。開音節(母音で終わる音節)の短母音は死音節扱いになり、声調に影響するため、長短の見分けは読解でも重要です。
特殊な形の母音
| 母音 | 形 | 例 | 読み |
|---|---|---|---|
| am(アム) | ◌ำ | คำ | kham(平声・言葉) |
| ai(アイ) | ไ◌/ใ◌ | ไป/ใจ | pai/jai |
| ao(アオ) | เ◌า | เขา | khǎo(彼・上声) |
**ไ と ใ はどちらも「ai」**と読みますが、ใ を使う語は20語程度に限られ、それ以外はすべて ไ です(ใ の語は暗記します)。ใ を使う代表語には ใจ(jai/心)、ใหม่(mài/新しい)、ใหญ่(yài/大きい)、ใคร(khrai/誰)、ใช้(chái/使う)、ใน(nai/〜の中)などがあります。これらは日常最頻出語なので、「ใ の語リスト」として早めに覚えると綴りで迷いません。それ以外で ai の音が出てきたら、まず ไ を疑えば大抵正解です。
日本人が注意すべき点
- 読み始めは常に子音から。前置母音に惑わされない。
- 短母音と長母音の聞き分け・書き分けは意味を左右する。◌ะ(短)と ◌า(長)を混同しない。
- เ◌ีย のような分散母音は、記号の集合を1つの母音としてまとめて認識する。
- ◌ำ(am)、ไ◌(ai)、เ◌า(ao)は1文字(1記号)で母音+子音的な響きを持つ。
まとめ
- 母音記号は子音の前後上下に付き、単独では書かない。読みは常に子音から。
- 長短はペアで覚える。長短で意味が変わる。
- 1つの母音が複数位置に分散する(เ◌ีย、เ◌ือ など)ので、まとまりで認識する。
- ไ と ใ は同じ ai。ใ の語は少数なので暗記する。